Voice Design語彙入門
Voice Designは「どんな声の人物か」を記述するものです。声の高さ、音色、響き、息の混ざり方を言葉で分けると、聞こえ方の違和感をプロンプトへ落とし込めます。
声の性質を分けて考える
「かわいい声」は単一の性質ではありません。やや高い声、明るい音色、柔らかい質感、豊かな抑揚などが組み合わさった印象です。高さと明るさ、高さと抑揚、息っぽさと小声は、それぞれ別の性質として考えます。
Pitch:声の基本的な高さ
声帯の振動に対応する、声の高低です。高い声でも抑揚が小さければ平坦に聞こえます。高すぎると感じたら、まず高さの指定だけを変えます。
| 英語表現 | 意味 | 使い分け |
|---|---|---|
| low pitch | 低い声 | 落ち着いた低音の方向 |
| medium pitch | 中程度の高さ | 高すぎる声を下げる出発点 |
| medium-high pitch | やや高い声 | このラボの基準 |
| high pitch | 高い声 | 明るい音色と同義ではない |
Timbre:声の色・質感
同じ高さでも、澄んだ声、ざらついた声、丸い声では印象が変わります。timbreはその音色の総称です。年齢の印象もここに関係します。
| 英語表現 | 意味 | 使い分け |
|---|---|---|
| clear | 澄んだ・クリアな | 濁りの少ない印象 |
| bright | 明るい | 低い声にも使える |
| warm | 温かい | 柔らかく親しみのある質感 |
| husky / raspy | かすれた・ざらついた | 摩擦や粗さを感じる質感 |
| youthful but distinctly adult | 若々しいが明確に成人 | 若さと成人らしさを併記 |
Resonance:響きの印象
声がこもる、前に出る、深く響くといった感覚を表します。自然言語の指示では、音響の厳密な測定値よりも、聞いた印象を記述する言葉として扱います。
| 英語表現 | 意味 | 使い分け |
|---|---|---|
| forward-placed resonance | 前に出る響き | こもらず存在感のある方向 |
| rich resonance | 豊かな響き | 厚みを感じる方向 |
| nasal | 鼻にかかった | 特徴づけに使えるが好みを分ける |
Breathiness:息の混ざり方
声に息の音がどのくらい混ざっているかです。息っぽい声でも普通の音量で話せます。whispering(ささやく)は発声方法の指定で、同じものではありません。
| 英語表現 | 意味 | 使い分け |
|---|---|---|
| slightly breathy | 少し息を含む | 柔らかさを控えめに加える |
| airy | 空気を含むような | 軽く息の多い質感 |
| clear, with little breathiness | 息っぽさの少ないクリアな声 | 息の多さを抑える方向 |
Articulation:言葉の輪郭
音をどれくらい明確に区切って発音するかです。かわいさや勢いを強めて聞き取りにくくなったら、この軸を見直します。
| 英語表現 | 意味 | 使い分け |
|---|---|---|
| crisp articulation | 歯切れのよい発音 | 軽快さと明瞭さの両立 |
| clear articulation | 明瞭な発音 | 汎用的な指定 |
| precise articulation | 正確で丁寧な発音 | 説明やナレーション向き |
| soft articulation | 柔らかな発音 | 輪郭を丸くする方向 |
Intonation:話している間の高低変化
声の基本的な高さを変えることと、会話中の上下幅を大きくすることは別です。基準のキャラクター性としてVoice Designに記述できますが、その台詞の抑揚はStyleで指定します。
| 英語表現 | 意味 | 使い分け |
|---|---|---|
| expressive pitch movement | 表情豊かな高低変化 | 反応の豊かさ |
| moderately expressive | 適度に表情豊か | 誇張を弱める |
| restrained intonation | 控えめな抑揚 | 静かな演技向き |
Cadence / Pace:リズムと速さ
paceは主に速度、cadenceは区切りや間、文末まで含むリズムです。基準の話し方はVoice Designに、場面ごとの速度はStyleに書くと整理できます。
| 英語表現 | 意味 | 使い分け |
|---|---|---|
| conversational cadence | 会話のリズム | 読み上げより受け答えの感じ |
| lively cadence | 軽快なリズム | 活発な雑談 |
| moderate pace | 中程度の速さ | 比較の基準 |
| unhurried | 急がない | 十分な余裕と間 |
Warmth:声から伝わる親しみ
物理量ではなく、聞き手が受け取る印象を表す語です。「少し楽しそう」「話しかけやすい」と感じる声の方向を指定します。
| 英語表現 | 意味 | 使い分け |
|---|---|---|
| warm smiling quality | 温かい笑顔を感じる声 | 常時ハイテンションとは別 |
| friendly | 親しみやすい | 距離の近い基調 |
| gentle | 穏やか・優しい | 柔らかい接し方 |
ラボで実際に使ったプロンプト
An adult Japanese woman in her 20s with a bright, clear, cute virtual-streamer voice. Medium-high pitch, slightly breathy, crisp articulation and a warm smiling quality. Standard Tokyo Japanese, natural conversational delivery.| 英語表現 | 意味 | 使い分け |
|---|---|---|
| An adult Japanese woman in her 20s | 20代の成人女性 | 人物の全体像 |
| bright, clear, cute virtual-streamer voice | 明るくクリアでかわいい配信者系の声 | 音色とキャラクター性 |
| Medium-high pitch | やや高めの声 | 基本の高さ |
| slightly breathy | 少し息を含む | 声の質感 |
| crisp articulation | 歯切れのよい発音 | 聞き取りやすさ |
| a warm smiling quality | 温かい笑顔を感じる声 | 声の基調 |
| Standard Tokyo Japanese | 標準的な東京方言の日本語 | 言語・地域 |
| natural conversational delivery | 自然な会話調 | 基本の話し方 |
一度に一つの軸を変える
台詞を固定し、同じ条件で生成して比較します。高さが気になるなら medium-high pitch を medium pitch に変え、息っぽさや抑揚はそのままにします。複数の指定を一度に変えると、何が効いたか分からなくなります。
| 聞いた問題 | 試す変更 | 比較の注意 |
|---|---|---|
| 高すぎる | pitchを下げる | 明るさや抑揚はまず維持 |
| キンキンする | pitchとbrightnessを別々に見直す | 原因を一つに決めつけない |
| ぼそぼそしている | articulation、breathinessを見直す | 音量だけで解決するとは限らない |
| 作り声が強すぎる | 抑揚を弱め、natural / conversationalを試す | 高さと抑揚を分ける |
| 読み上げに聞こえる | cadenceと場面のStyleを見直す | 声の質感まで変えない |
これらは数値のつまみではありません。単語と効果が一対一に決まるわけではなく、モデル、台詞、他の指定、生成ごとの揺らぎに左右されます。複数回聞いて、好みの傾向を確かめてください。
Voice DesignとStyleを使い分ける
同じ人物が深夜に静かに話す場面なら、声の設計を作り直すよりStyleを calm, intimate and relaxed に変更します。笑う瞬間や間は本文のタグで表す別の層です。まずは人物の声、台詞全体の演技、その瞬間の出来事に分けて考えましょう。